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Bruce Lee

最近の記事

社会のしくみ

イギリスのすべて ③革命とその後

革命期のアイルランド (1)イギリスとスコットランド イギリスがアイルランドを制圧していったん落ち着きを見せたアイルランド情勢は、17世紀中盤に次なる高揚期を迎える。 アイルランドが、ブリテン島におけるイギリス、スコット […]

イギリスのすべて ②イギリスとアイルランド

はじめにーイギリス史の根本問題 「トッド後」の視点でイギリス国家史を見る場合、根本的な問題は、「イギリスには、結局、権威の軸が生まれなかった」ということである。 *通常は直系家族の誕生とともに権威の軸が生成する。家族シス […]

イギリスのすべて① 前史と家族システム

はじめに この記事は、エマニュエル・トッド入門講座で連載中の「トッド後の近代史」のスピンオフである。事情を説明させていただこう。 同連載をやってみて分かったのは、近代以降のイギリスの行動は基本的に現代のアメリカと同じであ […]

「弱肉強食」の真実

はじめに 「アメリカ II」の中で、家族システムにおける「権威」が果たす機能の第一は秩序維持であると書いた。 権威には秩序維持機能があるという想定の下、「権威が確立していないとどう困るか」についてはこう書いている。 限ら […]

核家族とイノベーション
ー人類の未来ー

  核家族のイノベーション適性 技術力全般でいえば、日本や韓国、ドイツなどの直系家族に劣るところはないが、イノベーションとくに新技術の実用化といえば核家族だ。 鉄道、自動車、飛行機、電話。テレビにコンピューターにインター […]

ナチズムが生まれる場所

はじめに 現在の世界には「ネオナチ」という日本語では甘っちょろく感じられるほどの本物のナチズムが繁茂している場所が(私の知る限り)2箇所ある。一つはイスラエル、もう一つはウクライナ西部だ。 *以下「ナチズム」は民族などの […]

アメリカ II (3・完)
ー帝国の繁栄と衰退ー

  はじめに なぜ、アメリカは巨大な格差を放置してますます状況を悪化させ、軍事介入やCIA秘密作戦に熱中し続けているのか。 「権威」の不在に着目し、その謎を解き明かすシリーズの最終回。いよいよ、アメリカの建国から現在まで […]

アメリカ II (2)
ー国家をまとめる5つの方法ー

  はじめに アメリカは、家族システムの「権威」が供給する諸機能を持たないにもかかわらず、国家を誕生させ、成長し、歴史上稀有な繁栄を見せた。 いったい、どういうやり方で、国家に必須の機能を補い、国を成り立たせてきたのだろ […]

アメリカ II(1)
ー権威なき帝国の謎ー

目的 アメリカがグローバリズムに走って著しい格差と分断を生み出した機序については、私は基本的にはトッドの説明に納得している。しかし分からないこともある。 新自由主義の弊害はかなり早くから認識されていた。その上、2008年 […]

ドイツ(4・完)
-強くて不安定なドイツ-

    ドイツの地殻変動:宗教改革から三十年戦争まで (1)基本情報:家族システム、人口、識字 「地殻変動」を表す基本情報として、家族システムの生成は前回見たので、それ以外の要素を確認しよう。 〈 人口 〉ヨーロッパ全体 […]

ドイツ(3)
-ドイツ的メンタリティの誕生-

直系家族の成立 トッドの研究によると、ドイツで直系家族の浸透が始まるのは11世紀から13世紀である。西フランク王国(フランス)のカペー朝の下で10世紀末に直系家族が生まれ、ドイツでは農民層の間に遺産の不分割(単独相続)が […]

ドイツ(2)
-ドイツ史概観-

    建国:クローヴィスの洗礼 (496) 今回は、ドイツがキリスト教の権威を借りて建国するところから、皇帝の権威が低下し諸侯が優位を確立するところまで一気に行く。 ドイツは建国時にはフランク王国の一部であったので、建 […]

基軸通貨ドルー私たちはどんな世界に暮らしてきたのか

基軸通貨ドル:私たちはどんな世界に暮らしてきたのか ④ ドル覇権の現在

はじめに ドル覇権は今、崩壊の道を歩んでいる。毎分、毎秒、崩壊に近づいている。多分そうだと私は思っている。 過去にも、ポンド覇権の崩壊、覇権国の交代、バブルがはじけたとか、大不況とか、そういった事象が発生したことはある。 […]

基軸通貨ドル:私たちはどんな世界に暮らしてきたのか ③グローバル・サウス+BRICS

  はじめに:なぜドル覇権と距離を置くのか 南米、東南アジア、アフリカなどを含むグローバル・サウス。そして、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカを中核とするBRICS(以下まとめて「グローバル・サウス」と呼ぶ)。  […]

基軸通貨ドル:私たちはどんな世界に暮らしてきたのか ②ヨーロッパと日本

    はじめに:なぜドル覇権を支えるのか? 前回述べたように、ドル覇権は、実質的に、アメリカと西側諸国(ヨーロッパと日本)の協力関係を基礎とするシステムである。 ヨーロッパと日本は、最近、以前にも増して従順にアメリカに […]

基軸通貨ドル:私たちはどんな世界に暮らしてきたのか ①ドル覇権とは何か

はじめに この記事は「基軸通貨ドルー私たちはどんな世界に暮らしてきたのかー」というタイトルで始めた連載の最終回である。 数年前から「どうも西側世界の鏡は歪んでいるようだ」と感じて探究を続け、「かなり分かった」と思ったとこ […]

第二次世界大戦
-アメリカはなぜ参戦したのか-

はじめに  私はこれまでの人生の中で「アメリカはなぜWW2に参戦したのか」という問いを問うたことがなかった。 *このブログの最初の記事でも、私が問うたのは「昭和の日本が、勝ち目のない戦争を始めた(そしてなかなかやめなかっ […]

ポンドの沈下/ドルの浮上
-アメリカはどうやって大英帝国の力を削いだか-

はじめに 第一次世界大戦を契機に、安定したポンド覇権(国際金本位制)は終わりを告げる。 ポンドの地位が低下する一方、アメリカ・ドルの地位は上がる。ポンドとドルのダブル基軸通貨体制になるのだが、ドルは基軸通貨国としての責務 […]

基軸通貨の誕生
-ポンドの場合-

はじめに 自分がこれまでどんな世界に暮らしてきたのかを知るためには、ドルが基軸通貨であるということの意味をよくよく理解する必要があるらしい、という認識に至り、覚悟を決めて勉強した。 するとあら不思議(?)、第一次世界大戦 […]

世界を学ぶ

イエメンQ&A

「ガザとイエメンー「フーシ派」は何と闘っているのかー」の内容を元にザックリ目に解説します。「本当か?」とお思いの方はぜひ同記事をご参照ください。 Q イエメンのフーシ派はなぜハマスと連帯を掲げたり、紅海で船舶を拿捕したり […]

ガザとイエメン
– 「フーシ派」は何と闘っているのか-

1 革命のイエメン イエメンはいま革命の只中にある。誰もそんなことを言う人はいないが、そうなのだ。CIAが仕組んだ「カラー革命」なんかとは違う、フランス革命と明治維新を足して2で割ったような本物の市民革命だ。 イエメンは […]

イエメンの大まかな歴史

はじめに イエメン情勢について学んでいると、南北の対立とか、そのときどきの為政者と部族勢力の対立といった要素が繰り返し出てきて「なんか複雑でよくわからない」という印象を持ちやすい。 しかし、背景を知ればそれほど複雑な話で […]

イエメンのなりたちと宗教
(付/シーア派とは何か)

先日までの私と同じく「イエメンについての知識はゼロだが言われてみると興味はある」という方に向けて、イエメンを知るために「多分、この辺が重要じゃないか?」と思うところを見繕ってお送りします。 1 イエメンの場所:人類史のど […]

イエメンを知ろう(付/イエメンの人口動態)

  はじめに 現在、ガザ危機を終わらせるための行動をもっとも激しくかつ直接的に展開しているのはイエメンの人々である。 イエメンの人々は、10・7の直後からイスラエルに対するミサイル・ドローン攻撃を開始し、紅海を通行するイ […]

民主化の果て
ーリビアの場合ー

  以下は、ムスタファ・フェトゥーリ「リビアはカダフィとともに消えた:「解放」されたリビア人はなぜ占領下にあると感じているのか」の翻訳です。 Mustafa Fetouri, Gaddafi took the count […]

ユーラシア大陸の中心で起きていること
ー戦時下日記(6)

西アジアと中国を震源地として、本当に重要なことが起きていると思うのでまとめておく。 *以前、イランのハメネイ師が「ここは西アジアだ。中東などではない」と言っているのを聞いて「なるほど」と思ったので、西アジアを採用する(「 […]

(翻訳)メディアと国家
-アメリカの場合-

以下は、Caitlin Johnston, The US Could Use Some Separation Of Media And State の翻訳です。何かすごく新しいことが書いてあるわけではありません […]

(翻訳)ドルの覇権とその終わり
-アメリカはなぜ中国との戦争に向かっているのか-

*以下はこのスレッドの翻訳です。ちょうど知りたかったときに知りたかったことが書いてあってとてもありがたかったので日本語にしました。皆さんのお役にも立てば幸いです。 アメリカが今後数年以内の中国との戦争に向けて突き進んでい […]

イランの民主化
(翻訳記事付)

主要メディアを通して見るイランは、イスラム原理主義で女性を抑圧する前近代的な国家である。しかし、トッドは事あるごとに、中東で最も自由主義的で近代化が進んだ国はイランであると指摘している。 「本当のことを知りたいなー」と思 […]

ルーラとBRICSと世界の未来(翻訳記事付)

ブラジル大統領選で勝利したルーラ(愛称を正式の名前に入れ込んだものらしい。だから「ルーラ」でいいと思う)はBRICSの創設メンバーの一人である。 彼の勝利はいわゆる「グローバル・サウス」の人たちに大いなる希望として映って […]

パキスタンは燃えている
-民主化過程見学ガイド-

11月3日にイムラン・カーンが銃撃された後も、パキスタン議会の解散と総選挙の実施を求める抗議デモは続いている。イムラン・カーン自身も早期の復帰を約束しデモの継続を呼びかけている。パキスタンでいったい何が起きているのだろう […]

ARTICLE

コペル君の志

  コペル君の人生 『君たちはどう生きるか』の主人公、コペル君のプロファイリングをしたことがあります。概要はこんな感じ(↓)。 コペル君(プロフィール)    ○生年 コペル君(本名:本田潤一)は、本の中では、中学2年生 […]

結局あの戦争は何だったのか
ー日本から見たWW2ー

  はじめに 「第二次世界大戦 -アメリカはなぜ参戦したのか-」を読んで下さった方の中には、「で、結局、あの戦争のことはどう考えたらいいの?」とモヤモヤしている方がいると思う。 私の基本的な理解は、日中戦争と第二次世界大 […]

第二次世界大戦
-アメリカはなぜ参戦したのか-

はじめに  私はこれまでの人生の中で「アメリカはなぜWW2に参戦したのか」という問いを問うたことがなかった。 *このブログの最初の記事でも、私が問うたのは「昭和の日本が、勝ち目のない戦争を始めた(そしてなかなかやめなかっ […]

知性と自由意思の使い方
:「夢見る人類方式」から「宇宙人方式」へ

  人類は「なぜ?」を問う 「平和が大事と分かっているのに、なぜ戦争を止められないのか。」 「なぜあの人がこんな風に死ななければならなかったのか。」 「なぜ私はこんな酷い目に遭わなければならないのか。」 「政治はなぜ何も […]

独自研究のすすめ

  自然界に善悪はない 写真は夾竹桃(キョウチクトウ)。 私は広島に来るまで見たことも聞いたこともなかったが、広島ではどこにでも生えている。 「広島市の花」なのだ。 東京で見かけなかったのは、毒性が強いせいかもしれない。 […]

私に講師資格はあるのでしょうか?(エマニュエル・トッド入門講座 講師自己紹介)

  日本における法学 私のもともとの専門は法学(刑法学)です。2018年度まで法科大学院で刑法を教えていました。 つまり、人類学者でも人口学者でも歴史学者でもないのですが、ある日ふと、「(日本では)法学者って意外とこの任 […]

行政の立ち位置

  普通に頭がよさそうで、普通にいい人そうな人が、日本の総理大臣になるのはすごく久しぶりだ。それだけで私はとても嬉しい。 それ以上に政治家に多くを期待する習慣はないが、岸田氏にはほかにもずいぶん期待できるところがある。新 […]

「権威主義」を使いこなそう(3・マスコミ 日常生活編)

大本営発表的マスコミ報道ーーNHK国営化案 今回、私が結構ショックを受けているのは、マスコミがワクチン摂取後の死亡例に関する報道をひどく抑制していることです。日本の人々は安全性に対して非常に敏感ですから、「こんなにがむし […]

「権威主義」を使いこなそう(2・政治編)

責任の所在が曖昧ーー政治主導より行政主導で 直系家族システムの権威主義が面白いのは、正しさは「決まっている」。しかし「何が正しいかは誰にもわからない」という点です。 人類学システムの中には、直系家族以外にも、権威主義的な […]

「権威主義」を使いこなそう (1)

はじめに みなさん、新型コロナウィルス対策ワクチンを打ちましたか? 私のことは秘密です。どっちにしてもいろいろめんどくさいので。 新型コロナウィルス対応をめぐって、日本の政治、専門家集団、マスコミ、職場の在り方・・要する […]

日本近代史年表(?)

基本的には「昭和の戦争について」を書く準備として、こんな表を作りました。人物のセレクションは恣意的ですし、数字などの典拠も書いていないので、資料的価値はありません(嘘ではないつもりです)。ご参考までに。

昭和の戦争について

1 はじめに 昭和の日本が、勝ち目のない戦争を始めた(そしてなかなかやめなかった)のはなぜか、というのは、分野を問わず、社会科学者にとっては重たい問いである。私自身はエマニュエル・トッドの移行期危機の理論1トッドの本のあ […]

戦時下日記

トランプ大統領と日本の未来ー戦時下日記(7)

祝 トランプさん勝利 アメリカ大統領選でトランプ元大統領が勝利。まずは、アメリカの皆さんのために喜びたい。 私は何となく分かってきた気がするのだが、人間の集団(社会)には、それぞれ、その集団に合った行動様式というものがあ […]

ユーラシア大陸の中心で起きていること
ー戦時下日記(6)

西アジアと中国を震源地として、本当に重要なことが起きていると思うのでまとめておく。 *以前、イランのハメネイ師が「ここは西アジアだ。中東などではない」と言っているのを聞いて「なるほど」と思ったので、西アジアを採用する(「 […]

(翻訳)メディアと国家
-アメリカの場合-

以下は、Caitlin Johnston, The US Could Use Some Separation Of Media And State の翻訳です。何かすごく新しいことが書いてあるわけではありません […]

アーダーン首相はなぜ辞めたのか

はじめに ジャシンダ・アーダーンがニュージーランド首相の辞任を発表したとき(2023年1月)、驚くと同時に「あ、あれか?」と思い当たることがあった。 古い話になってしまったが、日本にとって大事なことだと思うので書く。 訪 […]

(翻訳)ドルの覇権とその終わり
-アメリカはなぜ中国との戦争に向かっているのか-

*以下はこのスレッドの翻訳です。ちょうど知りたかったときに知りたかったことが書いてあってとてもありがたかったので日本語にしました。皆さんのお役にも立てば幸いです。 アメリカが今後数年以内の中国との戦争に向けて突き進んでい […]

戦時下日記(5) 岸田政権、イーロン・マスクとタッカー・カールソン

12月20日(火)政権支持率低下 岸田内閣の支持率低迷。防衛費増額のための増税(あくまで「増税」)「支持しない」が64.9%。支持率は33.1%(共同通信)。 支持率が低迷するのは分かるが、現政権が今の日本が選択可能な政 […]

戦時下日記(4) 南米、メルケル、W杯

12月4日(日)「陸自沖縄部隊 大規模化 台湾有事に備え」(中国新聞1面トップ) 日本が事実上アメリカの属国である‥というか、独自の軍事・外交政策を展開できる立場にないということは、国内外で普通に知られている。 私が外国 […]

戦時下日記(3) インファンティーノ、ウクライナ破壊、台湾選挙、中国デモ

11月20日(日) インファンティーノ 明日からワールドカップが始まる。 ここに来てヨーロッパの各種機関や個人がカタールの人権侵害がどうのとか言っているのは見苦しい。とくに同性愛が違法な件。そんなのすぐに変えられるはずが […]

戦時下日記(11月7日-20日)

11月7日(月) ノルド・ストリームの続報。 ロシアの対外情報庁長官セルゲイ・ナルイシキン(Sergey Naryshkin)が、トラス元英首相からブリンケン米国務長官へのメール(”It’s done”)を「間接的に」確 […]

戦時下日記(10月26日-11月5日)

ノルドストリーム2爆破のニュースの頃から、「これはもう戦時下だなー」と感じるようになった。そう遠くない将来に自分たちも巻き込まれずにはいないだろう。何かは分からないが、単に物価が上がるとかいうだけでない何かがやってくるだ […]