カテゴリー
世界を学ぶ

これだけ知っておくといいかも
ウクライナ戦争

日本はアメリカの同盟国で、「西側」の一角です。

なので、「ロシアのプロパガンダ」には警戒するけど、「西側」のプロパガンダには弱い。「西側」に都合のよい情報以外はほとんど入ってきません。

でも、ロシアは日本のお隣の国で、これからも世界に存在し続けます。その人たちを排除して、仲間外れにして、言い分も聞かずに「制裁」して、平和なんて成り立つわけがないじゃん、と私は思います。

そう思って勉強し、私が理解した事実の中から、せめてこれだけ知っていれば、この戦争を公平に見ることができるのではないか。そう思える情報を、3点にまとめて、共有させていただきます。

①ウクライナ戦争は、ロシアとウクライナの戦争ではなく、ロシアとNATO(西側)の戦争です。

〔解説〕

・戦争に至るまでの交渉で、ロシアが要求していたのは、「NATOはウクライナを加盟させるな」の1点でした。交渉の相手がウクライナでなく、西側諸国の首脳であったのはそのためで、彼らが「ウクライナを加盟させない」といえば、戦争は防ぐことができました。しかし、西側は一切の譲歩を拒否し、ロシアの侵攻を招きました。

・西側は、この戦争を「ロシアのいわれのないウクライナ侵略」と位置付け、「被害者であるウクライナ側を支援する正義の味方」としてふるまっていますが、それは事実と違うと思います。この戦争の真の当事者は西側で、ちょっととげとげしい言い方をしますが、ウクライナはNATOの代わりにロシアと戦わされているのです。

・こうした事情を、ウクライナ国民の多くは理解していません。しかし、西側諸国はもちろん理解しているし、ゼレンスキーも(少なくともある程度は)理解していると思います。

②引き金を引いたのはロシアですが、ロシアに銃口を向け続けたのはNATO(西側)です。

〔解説〕

・共産圏封じ込めのために結成された軍事同盟であるNATOは、ソ連崩壊後も解散せず、「東方拡大」と呼ばれる拡大政策を続けました。東欧地域やバルト三国など、ロシアの周辺国をどんどん仲間に引き入れるNATOの動きは、ロシアから見れば、ソ連崩壊後も西側諸国(とくにアメリカ)がロシアを一方的に「敵」と位置付け、軍事的圧力を加えようとしていることの現れに他ならないと思います。

・とりわけ、隣国であり兄弟であるウクライナへのNATOの積極的な働きかけは、ロシアには非常識なほど攻撃的に見えると思います。(架空の例に例えていうと、日本の中央政府に不満を持った東北地方が、中国・北朝鮮との軍事同盟に誘い込まれる、みたいな感じでしょうか。)

・とくにコソヴォ紛争の例を念頭に置くと、ウクライナへのNATO軍の展開は、ロシアへの宣戦布告くらいの意味を持ちうるのですが、ご関心のある方はこの部分をご覧ください。

③独立ウクライナの国家経営は順調ではなく、その政情不安はロシアの懸念材料でした。NATO(西側)はその懸念を理解せず、不満分子の暴発を「民主化運動」と捉えて支援し、政情のいっそうの不安定化を促しました。

・ソ連崩壊によって独立したものの、困難な状況から抜け出せなかったウクライナでは、とくに貧しい西部地域で不満が高まり、ナショナリズム(≒ 反ロシア)が高揚しました(ロシアが「ネオナチ」「ファシスト」に言及することにはそれなりの理由があります)。

・ウクライナはロシアの隣国である上、ロシア系住民が多数住んでいます。ウクライナの不安定化はロシアにとっては深刻な脅威です。

・西側諸国は、こうしたロシアの懸念を理解せず、「反ロシア勢力=民主化勢力」と短絡的に理解して、台頭する西部勢力を支援し、NATOに誘い、彼らのナショナリズム(≒ 反ロシア感情)を煽りました。

・西側の行動は、ロシアには、隣国の政情不安に付け込んで、自らの軍事的勢力圏を拡大しようとする無責任で攻撃的な行動に見えると思います。

・ ・ ・

ロシアがついにウクライナに軍事侵攻をしてしまう背景には、このような事情がありました。こうした構図は、「西側」の私たちにはほぼ知らされていませんが、ロシアの人々が見ている絵であり、ロシア以外の「非西側」諸国の人々も、同じような絵柄を見ているはずです。

私は戦争一般を好みませんが、ウクライナ戦争が、平和を望む西側に対し、好戦的なロシアが一方的に仕掛けた戦争であるとは見ていません。平和を望んでいたのはロシアも同じです。なので、ロシアだけに全責任を負わせようとする「西側」の態度は、公正ではないと感じています。

だからどうということはありません。どちらがいいとかよくないとか言いたいわけでもありません。ただ、読んでくださった方の気持ちがほんの少しでもニュートラルな方に傾けば、その分だけでも世界は平和に近づくのではないかと思って、このようなものを書いている次第です。