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戦時下日記

トランプ大統領と日本の未来ー戦時下日記(7)

祝 トランプさん勝利

アメリカ大統領選でトランプ元大統領が勝利。まずは、アメリカの皆さんのために喜びたい。

私は何となく分かってきた気がするのだが、人間の集団(社会)には、それぞれ、その集団に合った行動様式というものがある。その様式にしたがっているときに、集団の成員が一番健康で、生き生きと暮らせるという、そういうやり方が。

アメリカにとって、それは、世界の真ん中に立って、公明正大な支配者として振るまい、世界に平和と繁栄をもたらすことではない。

自分たちの利益をいちばんに考え、好きなものは好き、嫌いなものは嫌いという。敵を作って仲間意識を高め、邪魔ものには出ていってもらう。それこそが、たぶん、彼らが健全でいるためのやり方なのだ。

トランプ次期大統領は、露悪的ではあるけれど、アメリカ国民の集合的メンタリティをきちんと代弁している。どうせ混乱が避けられないなら(それはもう既定の路線だから仕方がない)、バイデンやハリスにつまらない説教をされ、さまざまな「進歩的」政策に苦しめられるよりは、トランプと一緒に悪口なんか言い、イーロン・マスクに声援を送ってた方がずっといいと思う。

だから、素直に思う。「おめでとう!」と。

世界は自立を準備する

じゃあ、日本にとって、世界にとってはどうだろう。

もし、トランプ政権下のアメリカが、本当に「America First」を貫き(国内問題を優先し)、世界にちょっかいを出すのを止めてくれたら、それは世界にとっても最高だ。しかし、それは当面はなさそうに思える。

本気で世界から撤退しようとすれば、いわゆるディープステート的勢力(中身はそんなに大袈裟なものじゃなく、単に、イギリスから引き継いだ金融覇権を行使し、その保全のために全力を尽くす人たちだ。具体的にどういう仕組みになっているのかは、私はよく知らないけど)との戦いとなり、内戦に陥ってアメリカは二つか三つに分かれる、ということになるのかもしれない(映画「シビル・ウォー」を観ました)。

トランプ次期大統領にそこまでの覚悟があるのか、そもそもトランプ次期大統領(やイーロン・マスク)は本当はどっち側の人なのか、私にはわからない。ただ、どちらにしても、彼自身が早々にそれを率いることはなさそうなので、当面は、これまで通りに、あるいは少し新味のあるやり方で、世界各地にちょっかいを出すことになるだろう。

しかしその場合でもやっぱり、今、この時期に、トランプ次期大統領がアメリカを率いるのはすばらしいことだと思う。

彼は、誰から見ても「公明正大で信頼できる世界のリーダー」というキャラクターではない。その彼が大統領となることで、世界は早々に、「アメリカというリーダーがいなくなった世界」に慣れることができるのだ。

例えば、アメリカが、イランをいじめ、中国を煽って、戦争を起こそうとしたとする。ヨーロッパや日本や韓国は「アメリカは正しい」という前提で動く機構になっているので、オバマやバイデンが大統領であった場合、「追随する」以外の道を思いつけないだろう。

でも、トランプ次期大統領なら違う。トランプのアメリカが、あれやこれやと攻撃的な政策を展開しだしたら、誰だって「それでいいのか?」と思うし、それを素直に口に出すこともできる。

世界(とくにヨーロッパや日韓両国)はひとりでに、アメリカから自立する準備を始めているのである。

トランプ次期大統領は、アメリカを中心とした世界から多極化した世界への移行期まっただ中に(現在です)、アメリカ側のリーダーを務めてもらうのにぴったりの逸材である。彼の大統領就任は、世界にとっても、大層めでたいことなのだ。

日本の未来

そうこうしているうちに、アメリカを震源地として、株価が暴落するか何かして、ドル体制は崩壊する。

しかし、そのとき、世界の人々の脳内で、すでにアメリカは「世界のリーダー」ではない。世界は、いつの間にか、「アメリカ後」に移行しているのである。

なんてすばらしいことだろう。
とくに日本にとっては、ちょっと信じられないくらいの朗報だ。

だって、80年前の敗戦を理由にアメリカに隷属してきた日本が、アメリカと戦争もしないで、真の独立を獲得できるのだもの。これが祝福でなくて何だろう。

私はとくに国家を大事に思うタイプの人間ではない。でも、ここ数年、いろいろ勉強して理解したのは、人間とは、社会(この人口過密の世界では「国家」)を作って生きのびる生物種であり、一人ひとりの人間と国家とは、集合的メンタリティを介して、確実につながっているということだ。

いくら、頭で「関係ない」と思っていても、自分たちの心の集合体(?)である国家が実は独立していない(思うままに行動できない)という事実は、ねじくれた枷となって私たちの心をしばっているに違いない。

じつは、ここ数ヶ月、私の耳には、昭和天皇の「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び‥‥」という声が鳴り響いていた(ずっとではない)。

どんなに理不尽なことが起きていても、日本という国家には何もできない。「耐え難きを耐え‥‥」とは、こういうことか。そう思っていた。

でもそんな日々ももう終わる。

もちろん世界経済は混乱するけど、その混乱はつぎの世界を迎えるために絶対に必要な混乱なのだから、前向きに受け止めようではないか。

そして、そのとき、日本は何しろ晴れて独立国家となっているのである。近隣諸国と仲良くし、協力できる国と協力して、再建に取り組みましょうよ、ね。

石破政権は、ある程度、その覚悟をしていると思う。トランプ=石破というこの不似合いな日米首脳の布陣は、いま考えられる限り、最高の組み合わせだ。あー、よかった。

戦時下日記、完結か

ノルドストリーム爆破事件で「これはまずい」と思い、気持ちを落ち着かせるために始めたこの連載だが、そろそろ終えてよい頃なのかもしれない。

見たところ、現在の世界で、指導者層が狂気またはカオスに陥っているのはヨーロッパの一部の国とアメリカだけだ。

日本を含め、他の国々は、問題はいろいろあるけど、狂ってはいないし、カオスに陥ってもいない。

何より、ロシア、中国、イランが、極めて正気かつ冷静で、西側の狂気を吸収してくれている。彼らの正気そして忍耐強さのおかげで、世界は、西側が先に崩れるその日まで、どうにか秩序を保ち、決定的な衝突を回避できるのかもしれない。そういう気がする。

その場合でも、混乱は続くと思う。経済的な混乱だけでなく、局所的には武力衝突もあったりするかもしれないので、「平時」とはいいにくいけど、大局的に見ると、戦時というよりは、ある種の戦後処理という感じになるのではないかと思う。

そうかもな、と思うと、私はもうそれほどドキドキしない(ワクワクはする)。だから、戦時下日記はもう終わり、ということに、なるといいなと思っている。